働く人のメンタルヘルス不調に気づくための視点
メンタルヘルス不調に気づく視点として、病気であるか否かの医学的判断(疾病性)と、本人や周囲が困っていること(事例性)があり、この2つは必ずしも一致しません。
「疾病性」は、専門家(医師)が判断する症状や診断名などの精神面の問題のことを言い、「事例性」は、職場で本人や周囲が困っていることを言います。
「事例性」は職場での気づきが重要となり、「職場の平均的な姿からのズレ」と「本人の通常の行動様式からのズレ」に注目します。
特に「本人の通常の行動様式からのズレ」つまり「いつもと違う様子」が見られたら注意が必要と考えましょう。
本人が相談に行きたがらない場合は、「様子が以前と違うので、心配している」と面談などで伝え、専門家に相談するように努めましょう。心配だからと言って一人で抱え込まず、社内の産業保健スタッフなどと協力することも大切です。
専門機関への相談・受診
こころの病気で専門機関を受診する場合、どこの医療機関に行ったらいいのか、何を相談したらいいのか戸惑うと思います。そういった場合は、保健所、精神保健福祉センターなどに相談することが可能です。
精神科、心療内科などこころの病気を診る医療機関は、様々な診療科名がありますが、診る病気の専門がある場合もありますので、事前に問い合わせる方が良いでしょう。
会社に勤めている場合、評価への影響を恐れたり、周りからの目が気になり言い出せず、対応が遅れることが少なくありません。
こころの病気も体の病気と同じように、早く気づき対処することが大切です。しかしながら、最近ではテレワークが増えたことにより、こころの病気を抱える人が急増しています。
直接顔を合わせる機会が減り、周りの人たちが「いつもと違う様子」に気づくことができないことも影響しているかもしれません。
そのため、チャットやビデオ通話などのコミュニケーションツールの導入や定期的な出社機会を設けるなど顔を合わせる機会を増やす工夫を考えていく必要があるでしょう。
今回は、メンタルヘルスについてお伝えしましたが、次回は、メンタルヘルス対策についてお伝えしたいと思います。